Jörg Echternkamp Wolfgang Schmidt Thomas Vogel (Hrsg.) Perspektiven der Militärgeschichte

 注文していた洋書が届いたので、早速論文をいくつか読んでみました。
 Jörg Echternkamp,Wolfgang Schmidt,Thomas Vogel(Hrsg.) Perspektiven der Militärgeschichte: Raum, Gewalt und Repräsentation in historischer Forschung und Bildung (R. Oldenbourg Verlag, München, 2010).
(エヒターカンプ、シュミット、フォーゲル『軍事史のパースペクティブ:歴史研究と形成の領域、暴力、代表機関』)

 中を見てみるとなかなか興味を引く論文があります。ただ、まったくの新しい見解というものは少ないようですね。ベルクハーンの論文「米英の視点におけるドイツの軍事史の変化」(Volker Berghahn, Die Wandlungen der deutschen Militärgeschichte in britisch-amerikanischer Perspektive)を読んで興味深かったのは、私のドイツの軍事史に関する理解があまり的外れではなかったことがわかったことでしょうか。ベルクハーンの評価、ドイツの軍事史はアングロサクソンの亜流でなく、相当程度超えているという指摘は前から思っていたとおり。日本でもアングロサクソン系の戦争研究に力点を置く人は、ドイツ軍事史に対する評価が低かったですからね。特に70年代から80年代ぐらいまでのドイツの軍事史研究の水準はそういう批判を受けても仕方ないようなものも一部あったようですが。とはいえ、この論文のドイツ軍事史に対する評価は、ベルクハーンのリップサービスもあるかもしれませんけどね。

 マルテンス「第二次世界大戦以降のフランスの軍事史」(Stefan Martens, Die französische Militärgeschichte seit dem Zweiten Weltkrieg)は、フランスの軍事史の動向をドイツ人が説明するという論考。独仏軍事史の交流が近年活発になっているようです。そうした必要性から整理しておく必要があったのかもしれませんね。寡聞ながらフランス語で書かれたフランス軍事史のある程度まとまった方向性の研究機関や研究グループの存在を知りませんでしたので、非常にいい論文でした。ただ、具体的なフランスの研究者なんかは専門外のためかわかりにくいです。
 この前のヴィルヘルム・ダイスト賞(ドイツ軍事史研究に与えられる学術賞)も、Wencke Metelingのプロイセンとフランスとの比較研究でした。比較対照としてのフランスが、ドイツの軍事史研究者たちの間で関心をもたれているのかもしれませんね。

 ドイツ軍事史研究の整理はとても大事な作業ですし、日本でもプレーヴェの訳が出ていますから、今後もどんどん進めていってほしい(進めていきたい)ものです。私が今取り掛かっている仕事のいくつかもこうしたものにかかわるものなのですが、なかなか進みません。時間とやる気構えが前以上に強く求められますね。

Perspektive der Militärgeschichte

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