シンプルなデザイン

仕事上、たくさんの文献を用いざるをえないため、どうしても仕事場は雑然としがちです。ただし、論文を書いていたり、研究をまとめているときには一定の雑然さが時に効率的な職場環境を提供しているような気もします。山積みになった史資料、文献が文章をまとめていくに際し、頭の中でまとまっていくうえで役に立っている気もしますね。ある研究者が「部屋が片付いている人は研究していない」と言っていたことを思いだします。私自身は仕事が片付くとできるだけ雑然とした印象を与えないように、きれいに片づけるようにしています。でも、片づけた後で書棚に戻した本のことが頭の中からすっぽりとぬけてしまっているような気もするのも事実です。

昨今は建築物を見ても、仕事に使うさまざまな物品を見ても無駄を排除したシンプルなデザインのものが目立ちます。たとえば、大学の校舎を見てもかつての古く、雑然とした校舎は壊され、スマートで直線的な、ビジネスビルのような建築物が大学にもよく見られるようになりました。そうした建物を見ていくと確かに機能的で、ある種の美しさを感じ取れなくはないのですが、その一方でどこも同じようなつくりで、画一的にも見えます。こうした校舎に共通しているのは監視カメラが至る所にあり、冷たい印象をも受けることです。これは古くて、汚れが目立つようにはなっているけれど、どことなく温かみがあり、隙がある時代を経た建物とはまったく違っています。新しい建物の独特の「冷たさ」は、現在の社会情勢を反映しているのか、それとも今後時間がたつにつれ人間味が独特の形で作られるのかは関心があります。例えば、同じような人工的でシンプルなデザインの住宅公団によって作られた団地なども人工的な印象を受けますが、時間の経過によって独特の人間臭さが出てきているようにも見えます。現在の設計者がこの点でどのように考えているのか、それが描かれている文献があれば読んでみたいものです。
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